快進撃ソーテックの課題とこれから


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投稿者 jojo 日時 2000 年 12 月 21 日 19:25:22: [DG-001701]

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●COLUMN [13] 業界動向を読む! 第152回 執筆=中上真吾
快進撃ソーテックの課題とこれから
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これまで快進撃を続けてきたソーテックの動きが、ここにきて停滞している。調査
会社などの調べでも、10月以降は急速にシェアを低下させており、一時期の勢いは
見られない。実売価格10万円前後のPC STATIONは、一定の人気を得ているものの、
今年夏にはメーカーシェアで15%を超え、先行するNEC、ソニーに肉薄していたもの
が、10月には5%程度まで激減、富士通、アップル、日本アイ・ビー・エムなどにも
追い抜かれる状況となった。

シェア減少のタイミングは、それまでの低価格路線から、AV機能を搭載した高機能
路線へシフトしたタイミングと同じだ。果たして、この戦略が裏目に出たのだろう
か。実は、今回のシェア低下は、ソーテックの路線変更が失敗の原因ではないとい
える。むしろ、この路線変更は、ソーテックにとって、プラスと出るはずだった。

原因は、これら高性能パソコンを製造する韓国、中国での生産の遅れなのだ。関係
者などの発言をまとめると、オーディオメーカーのケンウッドと提携して開発した
AFiNA AVシリーズは、現在は、数万台規模のバックオーダーを抱えていながらも、
これまでは、ほとんどが納品されていない状況。しかも、年内は、その受注残を解
消するのが精一杯なのだという。

生産遅れの原因は、ケンウッドの音響機器と色彩を合わせるための塗装で、「納得
のいくものができない」、という点。部品調達の遅れや、機能面での不備といった、
ありがちな生産遅延理由ではなく、いわば初歩的ともいえるトラブルといえる。た
しかに、オーディオ機器にとって、そのカラーリングは、きわめて重要な意味をも
つ。AFiNA AVは、オーディオ機器としても適切な色にすることが、開発条件のひと
つに加わっていたとされており、その結果、ソーテック側も最後まで、その色調に
こだわったというわけだ。ただ、一応、これにはめどがついたとみられ、今後は量
産体制に入っていける模様だ。

一方、パフィーのテレビCMでスタイリッシュデザインがお馴染みとなったAFiNA
Styleは、そのデザイン性から高い製造技術が求められ、量産には、依然として四
苦八苦している状況だという。関係者の声などをまとめると、AFiNA Styleの生産
は、韓国で行っているようだが、結果として、年内の量産は絶望的になったようだ。
試作段階では、稼働していたものが、量産に移行する段階で、つまづいたという。

こうしてみると、ソーテックのマーケティング戦略は成功している一方で、生産管
理体制に盲点があったといわざるを得ない。あれだけ、大量の広告を打っておきな
がら、モノがないという状況となれば、結果として、投資効果は低く、事業として
は「失敗」ということになる。きわめて残念でならない。

もともとソーテックは、自社で生産設備をもたないファブレスメーカーである。そ
れだけに、生産体制の確保については、他社以上に配慮しなければ、今回のような
生産不能といった問題につながりかねない。実は、ソーテックのパソコンは、不良
率の問題などをはじめ、生産管理面での、向上すべき点が以前から指摘されていた。
部品調達や生産キャパシティという点では、管理ができているものの、生産の質的
問題の解決を後回しにした感が否めない。

ある大手パソコンメーカーの幹部は、「かつてのアキアもそうだったが、ベン
チャー系のパソコンメーカーは、一時的にシェアを引き上げることができても、生
産やサポート面で、自らつまづく。長続きすることがない。ほおっておけば、自爆
するだろう」と、ソーテックの動きを意に介さない、といった内容のコメントをし
た。たしかに、今後、ソーテックが、国内において、NEC、富士通、日本IBM、ソ
ニーなどと互角のシェアを獲得していく気があるのならば、生産体制に関する質的
転換を図らない限り、この大手メーカー幹部の発言通りになってしまうかもしれな
い。



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